海外の相手に電子書籍を贈る:知っておきたいストアごとのルールと手順
電子書籍を海外在住のご家族やご友人にギフトとして贈りたい、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。遠く離れていても、好きな本を共有できる電子書籍ギフトは素晴らしい方法の一つです。しかし、国内でのギフトとは異なり、いくつかの特別なルールや制限が存在することがあります。特に、利用している電子書籍ストアが異なったり、相手の居住国が異なる場合には、スムーズなギフトが難しいケースも見られます。
この記事では、海外の相手に電子書籍をギフトする際に知っておきたい基本的なルールや注意点、そして主要な電子書籍ストアごとの対応について解説します。これにより、海外の方への電子書籍ギフトを安心して行うためのお手伝いができれば幸いです。
海外の相手への電子書籍ギフト、何が問題になることがある?
海外の相手に電子書籍をギフトする際に考慮すべき主な点は、電子書籍ストアのアカウントに設定されている「居住国または地域」です。多くの電子書籍ストアでは、著作権や配信権の関係から、購入やギフト機能がアカウントの居住国に紐づいています。
具体的には、以下のような制限が発生する可能性があります。
- 特定の本のギフト: 自分が利用しているストアで購入した特定の電子書籍を、居住国が異なる相手に直接ギフトとして贈ることができない場合があります。これは、配信権が国ごとに異なるためです。
- ギフト券・ギフトコードの利用: ストアが発行するギフト券やギフトコードも、発行された国のストアでしか利用できない、あるいは特定の通貨でしか購入・利用できないといった制限があることが一般的です。
- ストアアカウントがない場合: 相手が利用したいストアのアカウントを持っていない場合、新規登録が必要になりますが、その際に相手の居住国の情報が必要となり、スムーズなギフトの妨げになることがあります。
これらの点を踏まえ、贈りたい相手の状況に合わせて最適な方法を選択する必要があります。
主要電子書籍ストアの海外ギフトに関する対応
ここでは、いくつかの主要な電子書籍ストアにおける、海外の相手へのギフトに関する一般的な対応についてご紹介します。ストアの規約や機能は変更される可能性があるため、最終的には各ストアの公式サイトで最新の情報をご確認いただくことをお勧めします。
Kindle (Amazon)
Amazon Kindleは世界中で展開されていますが、Amazonアカウントにはそれぞれ「Amazon.co.jp」「Amazon.com(米国)」「Amazon.co.uk(英国)」といった、利用する国の設定があります。
- 特定の本のギフト: 通常、特定の本のギフト機能は、同じ国のアカウント間でしか利用できません。例えば、Amazon.co.jpで購入した電子書籍を、Amazon.comのアカウントを持つ相手に直接ギフトとして贈ることは、原則としてできません。
- Kindleギフト券: Amazon.co.jpで発行されたKindleギフト券は、基本的にAmazon.co.jpのアカウントでのみ利用可能です。海外の相手がAmazon.co.jpのアカウントを持っていない場合や、普段利用しているAmazonのサイトが異なる場合(例:Amazon.com)、日本のKindleギフト券を贈っても利用できない可能性が高いです。
- 代替案: 海外の相手にKindle本を贈りたい場合は、相手の居住国に対応したAmazonサイトのギフト券(例:米国在住ならAmazon.comのギフト券)を、その国のサイトで購入して贈る方法が考えられます。ただし、これにはその国のAmazonサイトでの購入手続きが必要になります。
楽天Kobo
楽天Koboもグローバルにサービスを展開していますが、楽天アカウントに紐づく居住国の設定がギフトに影響します。
- 特定の本のギフト: 楽天Koboストアでの特定の電子書籍のギフト機能も、アカウントの居住国に制限される場合があります。日本の楽天Koboで購入した本を、海外の楽天Koboアカウントを持つ相手に直接ギフトとして贈ることは、対応していないケースが多いです。
- Koboギフトカード/ギフトコード: 楽天Koboで発行されたギフトカードやギフトコードは、原則として発行されたストア(国)でのみ有効です。日本の楽天Koboサイトで購入したギフトコードは、海外のKoboストアでは利用できない可能性が高いです。
- 代替案: Kindleと同様に、相手の居住国に対応したKoboストアのギフトカードやギフトコードが提供されていれば、それを購入して贈る方法が考えられます。ただし、ストアによってはギフト機能自体が提供されていない場合もあります。
honto
hontoは基本的に日本国内向けのサービスです。
- 特定の本のギフト: hontoの電子書籍ギフト機能は、honto会員である相手にのみ贈ることができます。海外在住の方がhonto会員登録できるかは、利用規約や居住国によって異なります。また、海外からのhontoサイトへのアクセスや利用自体に制限がある場合もあります。
- hontoポイントギフト: hontoポイントをギフトとして贈る場合も、相手が有効なhontoアカウントを持っている必要があります。
- 代替案: hontoに関しては、海外の相手への直接的な電子書籍ギフトは難しいケースが多いと考えられます。
海外の相手に電子書籍を贈る際の代替案と手順
特定の本を直接ギフトすることが難しい場合でも、海外の相手に喜んでもらえる方法はいくつか考えられます。
1. 相手の居住国に対応したストアのギフト券を贈る
これが最も現実的で確実な方法の一つです。
- 相手が利用している、または利用可能な電子書籍ストアを確認する: Kindle、Kobo、あるいは現地の電子書籍ストアなど、相手が普段利用しているか、またはアカウントを作成しやすいストアを確認します。
- 相手の居住国に対応したストアのギフト券を探す: 例えば、相手が米国在住でKindleを利用しているなら、Amazon.comでKindleギフト券を探します。
- ギフト券を購入する: 相手の居住国に対応したストアのサイトにアクセスし、ギフト券(多くはデジタルコード形式)をオンラインで購入します。この際、支払い方法や利用通貨に注意が必要です。日本のクレジットカードが使えるか、現地の支払い方法が必要かなどを確認します。
- ギフト券コードを相手に伝える: 購入したギフト券のコードや利用方法を、メールなどで相手に伝えます。ギフト券の利用方法や有効期限も併せて伝えると親切です。
この方法のメリットは、相手が自分で好きな本を選べる点です。デメリットとしては、購入手続きが海外のサイトになり、日本のサイトよりも手間がかかる可能性がある点です。
2. 日本のストアのギフト券を贈り、相手に日本のアカウント作成を依頼する(推奨度低)
日本の電子書籍ストアのギフト券(例:Kindleギフト券 日本版、楽天Koboギフトコード 日本版)を贈り、相手に日本の住所などでアカウントを作成・設定してもらう方法です。
この方法は、相手に負担をかける上に、ストアの利用規約に抵触する可能性があります。推奨できる方法ではありません。あくまで可能性として記述しますが、避けるべきです。
3. 物理的なギフトカードや、別の形のギフトを検討する
どうしても電子書籍にこだわらず、本を贈りたい場合は、以下のような方法も考えられます。
- 物理的なギフトカード: 国際郵便などで物理的な電子書籍ストアのギフトカードを送る。ただし、郵送リスクや有効期限の問題があります。
- 紙の書籍: 国際配送に対応しているオンライン書店を利用して、紙の書籍を直接送る。送料が高くなる場合があります。
- 現地のオンライン書店: 相手の居住国にあるオンライン書店を利用して、電子書籍以外のギフトや紙の本を贈る。
贈る前に相手に確認しておきたいこと
海外の相手にスムーズに電子書籍ギフトを贈るためには、事前にいくつか確認しておくと良いでしょう。
- 普段利用している電子書籍ストア: 相手がどのストア(Kindle, Kobo, Apple Books, Google Play Booksなど)を主に利用しているかを確認します。
- 利用しているデバイス: どのようなデバイス(Kindle端末、スマートフォン、タブレット、PC)で読書しているかを確認することで、対応するストアを絞り込む参考になります。
- ストアアカウントの居住国設定: 可能であれば、相手のストアアカウントがどの国に設定されているかを確認できると、ギフト券の利用可否を判断しやすくなります。ただし、プライベートな情報のため、聞き方に配慮が必要です。
- 読みたい本のリクエスト: もし特定の本を贈りたいと考えているなら、その本が相手の居住国に対応したストアで購入可能か、相手は既に持っていないかを確認すると、重複や無駄を防げます。
これらの情報を事前に把握することで、適切なギフトの方法を選ぶことができます。
まとめ
海外在住の相手に電子書籍をギフトとして贈る際には、国内ギフトとは異なる国ごとのストアの制限やルールが存在することを理解しておくことが重要です。特定の本を直接贈るのが難しい場合でも、相手の居住国に対応したストアのギフト券を贈るという代替案があります。
大切なのは、贈りたい相手がスムーズに本を受け取り、読書を始められるように配慮することです。事前に相手の利用状況や居住国を確認し、この記事でご紹介した情報を参考に、最適な方法を選択してください。
この記事が、海外の方への電子書籍ギフトを成功させるための一助となれば幸いです。